私のコーチングでは、コミュニケーションをとりながら、信頼関係を築いていき、企業ビジョンを浸透させ、各人・各セクションの目標を検討しながら、目標の共有化を図っていく。
次に各人・各セクションの進捗状況チェックとフィードバックを行った。
すべての面談で中間検討、目標修正、定期検討などを実施した。
最後にパフォーマンスの確認をする。
また、その確認の後、継続的な能力向上への目標を確認し、さらなる向上へと導くことになる。
営業管理職は管理する人でもあるが、その前にコーチでなければ成功は難しい。
部下に「やらせる技術」ではなく、「やってみたいと思わせる技術」を営業管理職が持っていることが不可欠である。
そのためには、営業管理職はコーチングスキルを使いこなす必要がある。
コーチングを導入すればするほど、各人の能力は飛躍的に伸び、その企業は学習集団となり、強いチームとなってゆく。
しかし、営業員の話だけ聞いて、「うんうん、素晴らしいね」、「それから」、「いいね」「では、やってみなさい」という、当たりさわりのない会話しかできない営業管理職では、部下の営業員は絶対に成功しない。
営業管理職のそれまでの経験、リソースを営業員に適切に伝えることも鍵である。
自分の気の赴くままに話すのでなく、今この営業員に必要な情報だから伝えるという姿勢が重要だ。
その良い例がベテラン営業員Hの場合だった。
私は、ある月の 日前後に、契約件数が上がっていないHが、営業所にぼんやりと座っているのにたまたま行き合わせた。
営業員の成績締め日は 日なのだから、 日などは最後の頑張りとばかりに、外を飛び回っていなければならないはずだ。
Hは営業センスが抜群で、実績も残していた。
その彼の成績がここのところ不振というのは、何かあるのだろうと思っていた。
普通であれば、「早く営業に出かけなさい」と言うところだが、ちょうど営業所には誰もいなかったので、コーチングをする良い機会と考えた。
彼は本来仲間を大切にする、成果より人間関係を重視するという面があり、サポータータイプだろうと思われた。
そこで、安定した人間関係を大事にする、今までのキャリアを認めるというアプローチの仕方が有効だろうと想像がついた。
「今月はどう?」「どうって、あんまり調子が良くないです」「そうか。
調子が良くないんだね。
隣に座ってもいいかな」「構わないです。
でも小言なら結構ですよ」「文句を言うつもりはない。
H君は、入社歴は古いよね」「古いだけです」すかさず承認をしたが、Hは無表情で、うかない様子であった。
私もそういう態度をとられて、ムッとしたが、ここは気を取り直し、彼のためにもう少し頑張ってみようと思った。
法人関係のリストを彼と二人で目を通しながら「仲の良い会社は?」、「更新の時期の会社は?」、「入院給付金を出した会社は?」など、いろいろと質問をしてみたが、Hの反応は良くない。
他の事務員が私に用事があるようだったので、私もいよいよ面倒臭くなってきた。
しかし、この日は最後までHのためにサポートしたい気持ちだった。
たぶん、Hの営業センスを信じていたからかもしれない。
ふと思いついて次のような質問をしてみた。
「お客さんはどのくらいいるの?個人は?法人は?」「調べたことないな。
ちょっと待ってください。
顧客リストが先月打ち出されてきたので。
個人で400人、法人で100社というところです」「すごいね。
そんなに顧客がいるのは財産だね。
H君が今まで素晴らしい営業をしてきた結果だね」「この中で、利益を出している会社を教えてくれる?」「A社です。
ここはずっと業績がいいって、知り合いのバイヤーから聞きました」「契約内容は?」「定期保険です。
保険金額も5000万円が3本です」「なるほどね。
契約して5年目か。
相手の会社もだいぶ変化があるかもしれないね」「そうなんですよ。
近々、役員が変わるらしいって」「どう変わるの?」【内容が核心に近づいてきたと直感して同じ言葉を繰り返した】「社長が会長に、若手の取締役が社長に抜擢されるみたいです」「よく調べているね。
よく行っているんだね」【承認をしながら、さらに細かい分析へと誘導】「顧客フォローはしっかりやっています。
でも、攻めができなくって」「この会社にとって、有益な提案はあるかな?」「う−ん、そうですねえ。
よくわかりません。
Hさんはどうですか?」「退職金の提案はどうかな?取締役が変わる時だし、どうだろう?」役員に一度話したことがあります。
節税って感じで話しましたが、相手の反応がもう一つでした」「その役員は、どういう立場なの?」「営業担当です」「事務担当の役員はいるの?」「います」「その人に、アポイントを取るのはどうだろうね」「以前は保険の窓口だったからよく知っています」「アポイントを取ったら、後はどうしたらいいと思う」「退職金のプレゼンテーションをします」「なるほど、良いアイデアだね。
その前にすることはあるかな?」「う−ん……」私は今までの経験から、このような企業には退職金の準備をさせる提案が有効だと思っていた。
しかし、Hにかぎらず、最初から答えを与えてしまうと、その人は私に頼りきってしまうことになり、本人のためにも良くない。
そこでHがあれこれと、さまざまなプランを彼なりにかなり考えた後で、こう切り出した。
Hは再び考え込んだ。
私はここで考えるだけではなく相手のニーズをもっと調べる必要がある、と思っていたが、彼から答えが出るのをじっと待っていた。
すると「ニーズの確認に行きます」という言葉がようやく出た。
「よく気がついたね」と承認した。
契約が思うようにできないときは、すぐに「保険に入ってください」とせっかちに契約を結ぶように話をしたいものだが、相手の企業のためにワンステップ、余分に時間をかけるというHの気持ちがうれしかった。
彼とその後、ニーズの確認のためのロールプレイングを行った。
彼は確認したニーズを基に提案資料を作成し、プレゼンテーションをしたところ、大型契約の獲得に結びついた。
契約をもらってきたHの喜んでいる姿は今でも目に焼きついている。
新人の目標設定は、あえてティーチングで実施私が取り入れた新人営業員に対する個人目標設定の方法はこんなやり方だった。
採用の段階で支社開発室の支社長から目標の説明をするのが大切なポイントだ。
私たちは、年間目標とか、月ごとの目標設定というのは、あまり重視していなかった。
営業は日々の連続なので、長期間の目標は難しく、途中での修正も多いからだ。
そのため週単位の目標設定を徹底させた。
入社前の採用の説明でも、目標は週に2件の契約とした。
そのためには、最低でもアポイントを週 件以上、紹介してもらう顧客を 人以上獲得しなければならないとした。
これを営業活動の標準としてもらうのだ。
私はよく「マラソン選手は42.195キロ先を見て走っているわけではないだろう。
電柱の1本1本を見ながら全力で、しかし一定の速度で走っている。
常に100メートルを全力疾走するのだ。
そのような仕事の結果が、1カ月、1年と積み重なって、振り返ったときに成果が上がる」という友人の研修会社の社長から教えてもらったマラソンの例え話をした。
このような説明を受けて入社してくる営業員ばかりなので、みんな覚悟はできていた。
新人研修は5週間実施した。
2001年秋は新入社員4人に研修を行った。
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